小学生や中学生を指導する前までは、

一番補強すべきは算数・数学だろう、

中学生は、英語でも苦戦しているのだろう、

と思っていました。

 

実際に指導してみて、その見立ては

あながち間違ってはいませんでした。

 

しかし、それ以上に、

大きな課題を抱えたお子さんが

少なからずいることがわかってきました。

 

それは

「国語力」の欠如、

という課題なのです。

 

例えば、小学生レベルの算数の問題を

「問題の意味が全くわからない」

という中学生が実際にいるのです。

計算する以前の話で、明らかに、

「読解力」「語彙力」が乏しい

と思われるお子さんに遭遇するのです。

 

最近読んだ本に、

『AI VS. 教科書が読めない子どもたち』

があり、その著者である数学者・新井紀子さんが、

講演会で話された内容が掲載されていました。

「論理的な思考力」を測定する「リーディングスキルテスト」の内容も

『AI VS. 教科書が読めない子どもたち』の中でも

もう少し多くの事例とともに紹介されていました。

 

問題を解く前の、文章の意味を理解するところ、

言い換えると「読解力」で、

躓いていることが多いのです。

 

このことがわかってから、

もう一度読み返した本があります。

15年前に、数学者・藤原正彦さんが記された

『祖国とは国語』です。

 

この本の最初の方を引用してみます。

(二) 国語はすべての知的活動の基礎である

情報を伝達するうえで、読む、書く、話す、聞くが最重要なのは論を俟(ま)たない。これが確立されずして、他教科の学習はままならない。理科や社会は無論のこと、私が専門とする数学のような分野でも、文章題などは解くのに必要にして充分なことだけしか書かれていないから、一字でも見落としたり読み誤ったりしたらまったく解けない。問題が意味をなさなくなることもある。かなりの読解力が必要となる。海外から帰国したばかりの生徒がよくつまずくのは、数学の文章題である。読む、書く、話す、聞くが全教科の中心ということについては、自明なのでこれ以上触れない。
それ以上に重大なのは、国語が思考そのものと深く関わっていることである。言語は思考した結果を表現する道具にとどまらない。言語を用いて思考するという面がある。
ものごとを考えるとき、独り言として口に出すか出さないかはともかく、頭の中では誰でも言語を用いて考えを整理している。(中略)人間はその語彙を大きく超えて考えたり感じたりすることはない、といって過言ではない。母国語の語彙は思考であり情緒なのである。

引用: 藤原正彦『祖国とは国語』(2003年講談社、2006年新潮社)

感情的に「国語が大事」と言っているのではなく、

「思考」の基礎として「国語」の重要性が語られています。

 

意識の高い親御さんは、

早い段階から英語やプログラミングに取り組ませたい、

と考えている節があるように感じられます。

もちろん、間違いではありません。

 

しかし、それよりも先に、

「思考力」を磨き、「考える習慣」を付ける

ことがとても大事で、

その礎を築くのは「国語」なのです。

 

ここで出した、

新井紀子さん、藤原正彦さんの共通点、

わかりましたか?

 

おふたりとも「数学者」なんです。

もちろん、英語でも仕事をされているはずです。

 

そんな数学者のおふたりが、

「国語」「読解力」の重要性

を説いているのです。

 

私自身も、学生時代、

数学大得意、国語は大の苦手

でしたし、大学も数学寄りの学科を専攻しました。

 

そんな私でも、実際に指導してみても、

「数学がわからない」中学生のうち、

「国語がわからない」「読解できない」

ために、数学の問題が解けないケースは多いです。

 

以前、帰国子女の生徒さんを指導したことがありますが、

一番の弱点は最後まで「国語」でした。

 

国語だけでなく、すべての科目に影響していました。

英検は準一級なのに、

日本語表現が未成熟なために、

英語のテストで点を落としている

のです。

 

そんな専門家の知見や、

今までの指導経験を踏まえて、

特に、小学生の生徒さんには、

「国語」を重点的に指導しています。

 

どんなことに留意して指導しているか?

は、また別の機会に。